LAB

『半年で一人芝居をつくる』創作ラボ

一人芝居は生涯の宝

 古代ギリシャで始まった演劇の歴史は、一人の人間が大衆や神を前にして演説のようなことをするところから始まっている。たった一人で多くの背景を背負って、多くの声を代弁する形で、舞台の上に立っていた。その姿は、まさに巨人のような存在感を放っていたのではなかっただろうか。何者にも近寄り難い、けれども、私たち人間と同族であるという親近感は持ち合わせている。
 今、一人芝居はどこか「鍛錬の場」や「創作の足掛かりの場」として受け取られているように感じる。集団創作のための訓練であるかのようなその様相は、私自身、いろいろな一人芝居を見てきたけれども、どうも歯痒さを感じる。
 一人芝居は、鍛錬の場ではない。生き死にが鬩ぎ合う命懸けの戦場そのものである。毎回の公演でその一生涯が始まり、そして終わりに向かう。誰かの前に一人で立ち、言葉を身体を用いて人の前に立つということは、すべての観客との一対一の防御無視の戦いなのだ。舞台とはそのフィールドだ。だから、そのフィールドを理解し、味方につけ、どのような表現ならば観客と共にこの戦いを盛り上げることができるのかを真剣に考えなくてはいけない。そして、それを公演で成し遂げられた時、私たちは戦場から解き放たれエデンの園へといくことができる。それを毎回行う覚悟が必要である。
 これらの経験を味わうことができる一人芝居。それはまさにその人にとっての一生涯の宝物なのだ。この宝物をいつも磨き、いつでも上演できるようにしておくことが、表現者としての矜持を保つことにつながる。そんな宝物をぜひ一緒に獲得していってほしい。

参加者求む!!

下記の要項をご一読いただき、参加フォームからご登録ください。

1.企画概要

俳優がそれぞれ一人芝居作品を創作し、半年間かけて作品を立ち上げていく創作ラボです。月1回、北千住のスタジオに集まり、空間・身体・言葉を手がかりに稽古と対話を重ねます。題材には小説を用い、既存の物語を自分自身の身体と言葉を通して捉え直し、最終的には「一生涯、自分のもの」として持ち続けられる一人芝居をつくることを目指します。

企画名:半年で一人芝居をつくるラボ
期間:2026年10月〜2027年3月(予定)
活動頻度:月1回(必要に応じてオンラインでの打ち合わせや稽古もあり)
会場:AAPA日の出町団地スタジオ
募集人数:最大6名
参加費:5,000円(各回)
参加フォーム:こちらから!
対象:一人芝居に興味のある俳優・ダンサー・パフォーマー

2.企画の目的

◯一人の俳優が、自分自身の表現を長期的に探求し、一つの作品として形にする。
◯小説を題材に、既存の物語をそのまま再現するのではなく、俳優自身の身体・言葉・空間との関係から作品を立ち上げる。
◯月1回の継続的な稽古を通して、短期間で完成を急ぐのではなく、時間をかけて作品を育てる。
◯完成した作品を、その場限りの上演にとどめず、俳優自身が今後も上演・再構成していける「自分の作品」として残す。

3.創作の考え方

一人芝居を「一人で演じる芝居」としてだけではなく、俳優と観客、空間、言葉、世界との関係をひらいていく表現として捉えます。俳優が何かを一方的に伝えるのではなく、観客やその場にあるものを受容しながら、その都度生まれる関係の中で表現をつくっていくことを大切にします。
題材には小説を使用します。小説の文章や物語を出発点に、読む・語る・動く・空間に置くといった行為を重ね、俳優自身の視点から新たな一人芝居へと変換していきます。

4.活動内容

・月1回、北千住のスタジオに集まり、一人芝居作品の創作・稽古を行う。
・空間・身体・言葉を使ったワークを通して、各自の表現の可能性を探る。
・題材となる小説を選び、読解だけに留まらず、身体・発話・空間を通して立体化する。
・各自の進行状況に応じて、次回までの課題や創作方法を相談して決める。
・半年間の活動を通して、一人芝居作品を一作品完成させることを目標とする。
・稽古は個々人と相談の上、必要に応じて、別で日程を設け、オンラインでの稽古も可能とする。

5.初回開催

日時:2026年10月25日(日)11:00〜15:00
内容:空間・身体・言葉のワーク/題材となる小説を決める
会場:AAPA日の出町団地スタジオ
参加費:5,000円

6.初回の流れ(予定)

11:00 オリエンテーション・企画説明
11:10 空間・身体・言葉のワーク
12:10 休憩
13:00 小説を題材にした創作の導入
14:00 題材決め・今後の創作について相談
15:00 終了

7.参加条件

・一人芝居という表現に興味があること。
・観客や世界を「分ける」のではなく、受容した上で表現することに興味があること。
・半年間、月1回の活動を基本として、自身の作品創作に継続的に取り組めること。
・活動の記録を、何かしらの形で発信すること(SNS、文章、写真、動画、音声など形式は問わない)。

8.半年間のイメージ

10月 ワーク/題材決め<創作の出発点をつくる>
11月 個人創作・稽古<作品の核を探る>
12月 個人創作・稽古<構成・表現を試す>
1月 稽古・フィードバック<作品の輪郭を明確にする>
2月 集中創作・試演<上演に向けて磨く>
3月 仕上げ・発表<一人芝居作品として形にする> 一般公開予定

※上記は現時点での目安です。11月以降は、参加者それぞれの作品の進行や必要な時間を考慮し、具体的な内容・日程を相談して決定します。

9.このラボで目指すもの

半年後に「一人芝居を一本つくった」という経験だけを残すのではなく、その先も何度でも向き合い、上演し、変化させていける作品を持つこと。そして、その作品をつくる過程そのものを通して、「自分は何を見て、何を受け取り、何を表現するのか」を、それぞれの俳優が探求していくことを目指します。

10.創作した作品の取り扱いについて

ここで創作した一人芝居の所有権は、全て創作者(俳優)のものとし、ほしぷろはその一切の権利を放棄することとします。演出や創作協力のクレジットにほしぷろを明記する必要はありません。もし記載する際も、こちらからの許可を必要としません。作品を自由に羽ばたかせていってください。

<講師紹介>

星 善之(ほし よしゆき)

福島県西会津町出身。舞台演出家/パフォーマー。
創作ユニット「ほしぷろ」主宰。舞台芸術ユニット「旅するたたき場」代表。せんがわ劇場DEL所属。
「【あたかも子供が遊んでいるかのような自由】を体現するには?」を出発点に、客席と舞台の境界を自由に行き来するような作品制作を目指す。
2023年9月からのドイツでの10ヶ月の滞在を経て、「俳優が役として存在するより先に、人間として舞台の上に存在している」ことを重視するようになり、身体性とパフォーマンス性からアプローチする作品創作に移り変わった。それまでの原作に準拠した形式から、複数のテキストを組み合わせていく、構成演劇の様相を呈してきている。

2022年、第12回せんがわ劇場演劇コンクール「演出家賞」受賞。
2026年『ガチゲキ‼Part3』「演出賞」を受賞。

現在は演劇にとどまらず、子どもの居場所の運営やアートプログラムの企画運営も行なっている。